落款印とは?読み方や種類をご紹介
公開日: 2022/2/17|最終更新日: 2022/7/8
目次
- 落款印とは?
- 落款印の種類
2-1.姓名印・氏名印
2-2.雅号印
2-3.印首印・関防印
2-4.押脚印・遊印
2-5.その他 - 落款印の作り方
- 基本的な押し方・位置
- まとめ
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落款印とは?
日本画や書道の作品、掛け軸などに朱色のはんこのようなものが押してあるのをご覧になったことはありますが?趣があっておしゃれにも見えるあの印は、「落款(らっかん)」と呼びます。
「落款」とは、「落成款識(らくせいかんし)」という言葉を略したものです。「落成」とは工事が終わり建物が完成すること、「款識」は金属製品などに文字を刻むという意味があります。これが転じて、書や絵画などの作品が出来上がったときの“しるし”として押す印を「落款印」と呼ぶようになりました。
認め印や実印と違って、実務としての印鑑ではなく、趣味としての印鑑とも言えるでしょう。
落款印の種類
落款印には、形状や刻印する内容、印をする目的などによって、いくつかの種類に分かれています。それぞれに役割がありますので、順に紹介します。
姓名印・氏名印
姓名印または氏名印と呼ぶ落款印は、その名の通り作者の氏名や姓名を彫刻した印です。「この作品はの作者は○○です」ということを表します。いわゆる署名のようなものですね。
通常は、本名のフルネームか苗字を朱の背景に文字が白抜きになる「白文」で彫刻します。これを「白文印(はくぶんいん)と呼びます。
雅号印(がごういん)
雅号印は、作者の雅号を彫ったものです。雅号とは、書家や画家などが本名以外につける名前のことで、文筆家でいうペンネームのようなものです。書画などを習っていますと、師匠から雅号がいただけるそうですよ。
雅号印は、白地に朱の文字が浮かび上がる彫り方で作りますので、「朱文印(しゅぶんいん)」とも言います。
雅号印は、作品の左側、姓名印・氏名印の下に押します。
印首印(いんしゅいん)・関防印(かんぼういん)
印首印・関防印は、「書き始めのしるし」として作品の右上に押す落款印です。印首印・関防印は、縦長や長方形、楕円形の者が多く、白文でも朱文でもかまいません。
押す位置は、作品の左側、中央より下です。
刻まれる文言は、自分の好きな言葉やおめでたい言葉、座右の銘などが使われています。いろいろな作品に押すことを考えて、季節が限定されない言葉を選ぶ方も多いそうです。また、○○堂や○○舎など、建物や屋号のようなものを選ばれる場合もあります。
言葉を刻む落款印のことを総称して「成語印(せいごいん)」と言い、堂や建物、書斎などの名前を刻む印を「堂号印」と呼びます。
姓名印・氏名印と雅号印、印首印・関防印の3種類を合わせて、三顆印(さんかいん)と呼ばれ、最も正式な落款印とされています。
押脚印(おうきゃくいん)・遊印(ゆういん)
押脚印・遊印とは、どちらも作品の中の飾り的に自由に押す印のことです。押脚印は、作品の右下に押すことが多く、堂号印や成語印などを使うことが一般的です。
それに対し、遊印は、成語印も多いですが、言葉ではなくマークのような象形的なものが刻まれる場合もあります。ですので、書画だけでなく、年賀状や絵手紙などにも、自分だけの「しるし」として押してみるのも楽しいですね。
その他
落款印にはほかに、連印(連続印)・一文字印・蔵書印(収蔵印)などがあります。
連印(連続印)とは、氏名や雅号を2つに分け、1本の縦長の印鑑に2つの印を刻んで、白文か朱文にそろえて作ったものです。色紙や短冊などによく用いられている落款印です。
一文字印は、姓一文字・名一文字をそれぞれ刻んだ印鑑で別々に使います。こちらも色紙や短冊、絵手紙などで使われています。
蔵書印(収蔵印)とは、書籍の所有者を明示するために押す印のことです。「○○蔵書」や「○○氏蔵書」などと刻まれていることが多いです。
落款印の作り方
落款印にあまりなじみのなかった方も、興味を持っていただけましたか?ではもう一歩踏み込んで、今度はあなただけの落款印を作ってみましょう。基本的な作り方を紹介します。
準備するもの
落款印を作るためには、まず印材・印面のサイズを決めなくてはなりません。
印材とは、はんこを作る材料です。落款印の印材は、石が一般的ですが、扱いやすいのは木材系の印材です。黒水牛や柘(つげ)、象牙などがありますので、お好みの印材を選びましょう。印材が決まったら、印面が平らになるまでやすりをかけます。
印面のサイズは作品とのバランスによって決めましょう。人気のあるサイズは、18mmから24mmです。
あると便利なのは、印床(いんしょう)です。印材を固定する道具で、これがあると怪我をしにくく、印材も刻みやすいです。
「初めてだから、何がいいかわからない」という方には、落款印を作るためのセットも販売されていますので、そちらがおすすめです。
文言と書体を決める
落款印の書体は、基本的には篆書体(てんしょたい)ですが、趣味として作る場合ならそれほどこだわらなくてもいいですね。篆書体をアレンジしたオリジナルの落款印にすれば良いでしょう。
文言は、氏名の他、好きな言葉、縁起の良い言葉などになります。あまり字数が多いと作るのが大変ですので、気をつけましょう。文言と書体が決まったら、まず紙にデザインします。
印影を写す
紙に書いたデザインをレーザープリンターで印刷します。平らにした印面に朱色の墨を塗り、印刷面をテープで印面に貼ります。貼った上から黄色のマジックインキで印面を塗りつぶします。これで印面にデザインが転写されます。
プリンターが使えない場合は、デザインを書いた紙を鏡に映して、鏡面のデザインを直接印面に書くという方法やトレーシングペーパーを利用する方法もあります。
篆刻(てんこく)する
篆刻するとは、簡単に言えば印面を彫っていくことです。この時に気を付けることは、彫る場所です。白文にするなら文字を、朱文にするなら文字の周りを彫ってください。ある程度彫れたら、試し押しをして調整しましょう。
撃辺(げきへん)
印面が彫り上がったら、印面のふちにわざと傷をつけます。これは落款印を味わい深くするためで、この作業を「撃辺」と呼びます。これであなただけの落款印が完成です。
基本的な押し方・位置
落款印の押し方・位置は、先に述べたとおりで、一般的に書の作品には、印首印(関防印)・氏名印(姓名印)・雅号印の「三顆印」を押します。ですが、作品とのバランスや余白が少ない場合には、すべて押す必要はありません。絵画などは、作者のイメージや表現方法などで、落款印を押す位置や種類が変わることも多いです。
落款を押すときには、普通の朱肉ではなく、印泥(いんでい)の使用がおすすめです。印泥は、もぐさ・朱砂(しゅしゃ)・植物油を主な原材料とした朱肉です。(朱砂とは、朱色の顔料の原料になる鉱物です)手入れは少し手間がかかりますが、鮮やかな落款印を押すことができます。
まとめ
今回は、落款印について説明いたしました。今まで落款印をご存じなかった方も多いと思います。もしよろしければこれを機会に、落款印に注目してみてください。
とても日本的で趣のある、朱色の印。年賀状や絵手紙、名刺など毎日の暮らしのちょっとしたアクセントとして、落款印を利用してみませんか?
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