おすすめの会社印鑑とは?失敗しない選び方と注意点を紹介
公開日: 2024/10/24|最終更新日: 2024/10/24
会社を設立する際、避けて通れないのが会社印鑑の作成です。しかし、素材や書体などの選択肢が多すぎて何を選べばいいのか迷ってしまう方もいるのではないでしょうか。
トラブルを未然に防ぐためにも、あらかじめ適切な会社印鑑について把握しておきましょう。そこでこの記事では、会社印鑑の作成で押さえておきたいおすすめの選び方についてご紹介します。会社設立を予定している方は、ぜひ参考にしてください。
<目次>
- 会社印鑑の種類を確かめておこう
- 会社印鑑で仕様するおすすめの素材は?
- 会社印鑑で仕様するおすすめの書体は?
- 会社印鑑のおすすめの選び方
- 会社印鑑を作成する際の注意点
- まとめ
会社印鑑の種類を確かめておこう
会社設立時に必要となる印鑑は大きく分けると4つです。このうち、会社実印とも呼ばれる代表者印は、会社の印鑑証明として使用します。
一方で、ゴム印については必須ではありませんが、業務の効率化に役立つでしょう。ここでは、4種類の印鑑について詳しく解説します。
会社の印鑑証明用の印鑑となる「代表者印」
代表者印は会社設立時に重要な役割を果たす印鑑です。印鑑証明書の発行に用いられる会社の実印としての機能を持ちます。
代表者印は、登記申請書や契約書類への押印など、会社の正式な意思決定を示す場面で使用される印鑑です。
サイズには規定があり、1辺が10.0mm〜30.0mmに収まる必要があります。さまざまなタイプの代表者印がありますが、直径18.0mm〜20.0mmの丸印の印鑑がおすすめです。法務局に登録される印鑑ですが、紛失や不正使用のリスクが高いため、厳重に管理しましょう。
銀行の口座を開設する際に必要な「銀行印」
銀行印は法人口座の開設や運用に使用する印鑑です。代表者印との兼用も可能ですが、セキュリティリスクが高いため、別々に用意するのが良いでしょう。銀行印を独立させることで、代表者印の紛失や悪用のリスクを軽減できます。
代表者印と銀行印を混同しないよう、サイズや形状などを変えておくと良いでしょう。一方で、極端なサイズは金融機関に認められない場合があるため、事前の確認をおすすめします。
請求書などで使用する「角印」
角印は社印とも呼ばれている印鑑です。主に請求書、発注書、見積書などの日常的な業務書類に使用されます。代表者印の代わりとしても使用できるため、状況に合わせて使い分けるのも良いでしょう。
近年では電子契約システムの普及により、角印の使用機会が減少している企業もあります。ただし、さまざまなケースで必要となる可能性が高いため、会社設立時に作成しておくのがおすすめです。
事務作業で使用する「ゴム印」
ゴム印は、会社名や住所などの基本情報を素早く記入するために使用するスタンプです。印面がゴム製で、会社名、住所、電話番号、代表者名などを一度に押印できます。
申込書、領収書、封筒など、正式な署名が必要ない書類作成時に使用する際に使用するのが一般的です。手書きの手間を大幅に削減できるため、ゴム印を作成しておくなら業務の効率化を期待できるでしょう。
代表者印、銀行印、角印と比べると重要度は低いですが、日常的な事務作業をスムーズに行いたい方におすすめです。
会社印鑑で使用するおすすめの素材は?
会社印鑑の素材選びは、耐久性、美観、コストなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。主な素材は植物系、動物系、金属系の3種類です。それぞれの特徴は異なるため、慎重に選びましょう。ここでは、代表的な3種類の素材について詳しく解説します。
植物系の柘植(つげ)
柘植は、タイ周辺に生育する木を用いた植物系の印材です。極めて硬い木質でありながら、細工がしやすいという特徴があります。
自然素材ならではの温もりと美しさを持ち、使用するほどに手になじむ柔らかな触感が魅力です。また、使い込むことで色が深まり、光沢が出るなどの経年変化を楽しめます。
一方で、水や強い衝撃に弱いためメンテナンスが必要な場合もあるため、取り扱いには注意が必要です。比較的手頃な価格で販売されており、コストを抑えたい方に向いています。
動物系の黒水牛
角を加工した後に漆黒に染めた黒水牛は、光沢のある美しいデザインが特徴です。チタンなどの金属製印鑑と比べると比較的手頃な価格で販売されており、コストパフォーマンスに優れています。
多くの企業や個人に選ばれる印材で、安定した品質と実用性を求める方におすすめの素材です。
金属系のチタン
チタンは、高級印材として高い人気を誇ります。重量感があり、手になじみやすいのが特徴です。
また、金属製のチタンは耐食性に優れており、長期間使用しても変形や摩耗が起こりにくいでしょう。耐久性が高いため、長期の使用を検討している方に適しています。
一方で、金属でありながら軽量なため、持ち運びや使用が容易です。チタン特有の色合いと光沢があり、企業のブランドイメージ向上にも役立てられます。価格は高めですが、耐久性と高級感を重視する方におすすめの素材です。
会社印鑑で使用するおすすめの書体は?
印鑑で使用する主な書体は、篆書体(てん書体)、印相体、古印体、隷書体(れい書体)です。伝統的で格式高い印象を与えるものから、現代的で読みやすいものまで、さまざまな選択肢があります。
会社印鑑の書体選びは、企業のイメージや用途に大きく影響するため、慎重に選びましょう。ここでは、それぞれの書体の特徴について解説します。
中国の秦の時代に成立した篆書体(てん書体)
篆書体は、中国の秦の時代に誕生した古典的な書体です。角が丸く、線が太いという特徴があります。正式な契約書や重要書類に用いられることが多く、企業イメージとして力強さを演出したい場合におすすめです。
篆書体は芸術性が高く装飾的な要素が強いため、デザイン性に重きが置かれる傾向にあります。長い歴史を持つ企業や、伝統を重んじる業界で特に好まれる書体といえるでしょう。
独特の風格を持った印相体
印相体は、印鑑専用に開発された独特の書体です。一見すると篆書体に似ていますが、より角張った印象を与えます。文字の骨格が強調されており、力強さと品格を兼ね備えた風合いが特徴です。
印相体は企業の印鑑だけでなく、個人の銀行印や認印としても広く用いられています。また、文字の画数や配置によって運気が変わるという印相学の考えに基づいており、会社の繁栄や成功などを意識している企業におすすめの書体です。
印相体は判読性が低く、偽造防止に向いています。ただし、あまりに複雑すぎると、取引先や金融機関で混乱を招く可能性もあるため、バランスが求められるでしょう。
古代の印章に見られる古印体
古印体は、その名の通り古代の印章に見られる書体です。歴史を感じさせる重厚なデザインが特徴となっています。伝統や歴史を重んじる企業、あるいは古典的な価値観を大切にする企業におすすめの書体です。
中国の漢代に成立した隷書体(れい書体)
隷書体は、中国の漢の時代に使用された書体で、曲線と直線を組み合わせています。篆書体ほど格式高くはありませんが、ビジネスシーンで幅広く使われる実用的な書体のひとつです。
また、読みやすさと美しさを兼ね備えているため、現代的な印象を与えることができます。多くの業種や場面で違和感なく使用できる汎用性の高さが、隷書体の大きな魅力です。
会社印鑑のおすすめの選び方
会社印鑑の選び方は、企業の信頼性や法的有効性に直結する重要な要素です。適切な選択をするためには、サイズ、書体、素材の3つの観点から慎重に検討する必要があります。ここでは、会社印鑑を選ぶ際のポイントについてまとめました。
種類に合わせてサイズを選ぶ
会社印鑑を選ぶ際、種類に応じた適切なサイズ選びが重要です。代表印(会社実印)には法的な規定がありますが、他の印鑑にはサイズの決まりはありません。
ただし、区別をつけやすくするため、一般的に角印、代表印、銀行印の順でサイズを決めます。具体的には、角印が一辺21.0mmまたは24.0mm、代表印が18.0mmの丸印、銀行印が16.5mmの丸印が目安です。会社名の文字数によってはサイズ調整が必要な場合もあるため、印影での確認をおすすめします。
判読の難しい書体を選ぶ
会社印鑑、特に代表印や銀行印では、偽造防止の観点から判読性の低い書体を選ぶのが一般的です。代表的な書体として、篆書体があります。文字の判読が難しく、また文字と枠が接する部分が多いため欠けにくいのが特徴です。
一方、角印には比較的可読性の高い古印体が選ばれる傾向にあります。書体選びの際は、漢字やアルファベットなどの文字の種類や画数、文字数なども考慮し、社名に合わせて選びましょう。適切な書体選びは、セキュリティと企業イメージの両立に役立ちます。
耐久性に優れた素材を選ぶ
会社印鑑は長期間使用するものであるため、耐久性の高い素材選びが重要です。摩耗による印影の変化を防ぐためにも、適切な素材を使用しましょう。
一般的な素材として柘植がありますが、耐久性の高い黒水牛や、強度と高級感を兼ね備えたチタンも人気です。素材選びは印鑑の寿命と品質に直結するため、会社内での使用頻度や予算を考慮しながら、最適な素材を選択しましょう。
会社印鑑を作成する際の注意点
会社印鑑の作成には、法的規制や使用上の制限など、重要な注意点があります。不要なトラブルを未然に防ぐためにも、あらかじめ確かめておきましょう。ここでは、代表者印の使用制限や登録後の変更手続きに関する注意点について解説します。
代表者印は本人のみ使用可能
会社に複数の代表者がいる場合、各代表者がそれぞれ独自の代表者印を作成できます。一方で、代表者印は本人以外の使用が認められていません。
共同代表者の場合でも、別の代表者の印鑑を使うことは禁止されています。会社の重要な意思決定や法的手続きの信頼性を確保するために設けられている措置です。
録後の変更は可能
会社印鑑は、一度登録した後でも変更できます。印鑑を紛失してしまった場合や会社の代表者が変更された場合でも、登録変更手続きが可能です。変更手続きの具体的な方法については、管轄の法務局に相談しましょう。
まとめ
会社印鑑の選び方は、企業の信頼性と法的有効性に直結する重要な要素です。企業では4種類の印鑑を使用しますが、それぞれの用途に合わせて選ぶ必要があるでしょう。素材は耐久性を考慮し、書体は偽造防止と企業イメージを両立させるのが重要です。
また、サイズ選びや使用制限、登録後の変更手続きなどの注意点も押さえておきましょう。適切な会社印鑑を選ぶことで、ビジネスの信頼性を高め、法的トラブルを回避できます。